難攻不落な彼に口説かれたら
社交性ないよね。でも、社会人ならもっと大人の振る舞いを覚えるべきだと思うんだけど……。

「おーい、片岡、これから各部署に挨拶回り行くぞ」

秀兄が席を立ち、片岡君に声をかける。

「はい」

片岡君は返事をすると、秀兄と共に行ってしまった。

彼の姿が見えなくなって、ハーッと溜め息をつく。

すると、隣でも溜め息が……。

「やっぱ、ああいうタイプは好きになれないな」

それは、片岡君のことを言っているのだろう。

小野寺君のコメントに「ハハハ」っと苦笑する。

昔から彼に反感を持つ人間って多かったなあ。

「意外にいい人かもしれないよ」

昔の癖でつい片岡君を庇う私。

彼の悪口は聞きたくない。

彼の有能さをもっと知って欲しい。

そんなことを思ってしまう私って……まだ片岡君が好きなのかな。
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