難攻不落な彼に口説かれたら
「生憎、雪乃専用だからね。他の人には売らない」

きっぱり言い切ると、じっと彼女を見据えた。

「でも、まだ付き合って一ヶ月も経ってないのにそんなこと言っていいの?」

驚きと不安が混ざり合った顔で雪乃は聞いてくる。

彼女が戸惑うのはわかる。

俺達の関係が長く続くかとか、雪乃の性格だといろいろ考えるのだろう。

お互いの信頼関係を築くためにも、一歩踏み込んで話をした。

「付き合い出したのは最近だけど、俺達高校の時から知ってるよね?それに、俺は雪乃のこと高校の時から興味持ってたよ」

「嘘……」

雪乃は俺のセリフに目を丸くした。

「本当。お袋が病気で大変な時期だったから、告白はしなかったけどね。でも、日本に戻ってきてすぐに雪乃に目を奪われたんだから、自分で思っていたより雪乃に嵌ってるみたいだ。自分から『好きだ』って言ったのも雪乃だけだし、もっと自分に自信持ったら?」
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