難攻不落な彼に口説かれたら
「未練だなあ」

ポツリと呟く私を見て、小野寺君が不思議そうに首を傾げる。

「え?」

「ううん、何でもない。仕事溜まってるから頑張らなきゃ」

笑顔を作って誤魔化すと、目の前の仕事に取り掛かった。



午前も午後も息つく間もないくらい慌ただしく仕事をした。

情報システム部に片岡君のパソコンを取りに行ったり、総務部に申請書を取りに行ったり、経理に出金伝票を出しに行ったり……。

お昼もサンドイッチをつまみながら溜まったメールを処理して、全部見終わったのが定時過ぎ。

やっと本来の仕事が出来ると明日の経営会議の資料をひとり黙々と作成する。
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