難攻不落な彼に口説かれたら
12、納会での大失態
今日は十二月二十八日で仕事納めの日。

今年最後の出勤日ということでみんなどこかお祭りムード。

午前中にデスクワークを終わらせると、給湯室や共有スペースの掃除を始める。

茶しぶのついたカップをブリーチしていると、秀兄が現れた。

「席にいないと思ったらここにいたのか?」

コーヒーブレークをしに来たのか、秀兄はコーヒーマシーンの前に立ち、慣れた手つきでボタンを操作しながら私に話しかける。

「うん。何か仕事?」

秀兄を見上げてそう問いかけると、彼は小さく頭を振った。

「いや、年末と正月お前どうするのかと思って。うちは年末から伊豆の別荘なんだが」

「いいね。私の方は片岡君に空けておいてって言われてるんだけど」

具体的には何をするのか聞いていない。
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