難攻不落な彼に口説かれたら
「まあ、時期は知らんが、片岡はそういう認識でいいって言ってたぞ」

コーヒーマシーンからカップを取り出すと、秀兄は私の前でコーヒーを口に運んだ。

「秀兄が変なプレッシャーかけたんじゃないの?」

だから、仁が『このままずっとうちにいるといい』なんて言ったんじゃあ。

「あいつ、ノリノリだったぞ。親父も社長もお前らが結婚するって思ってる。あっ、うちの奥さんと心もな」

秀兄は嬉々とした顔で報告する。

そんな彼を見て頭を抱えた。

「どうして話がそこまで伝わってんの?」

「心が親父に楽しそうに喋って、そこから社長に伝わったわけだ。よお!将来の社長夫人!」

秀兄はバシッと私の背中を叩く。

「いたっ!秀兄、その口、ガムテープ貼ろうか?」

キッと秀兄を睨むと、「あー、勘弁、勘弁」と言って笑う。

ダメだ。完全に面白がってる。
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