難攻不落な彼に口説かれたら
それに、心ちゃんにバレているとは思わなかった。

でも、心ちゃんと仁、仲よさそうに話してたもんね。

「いいじゃないか。俺みたいにイケメンで有能でリッチな旦那」

「自分で言うなあ!」

手でバシバシ秀兄の背中を叩くが、彼の口は止まらない。

「もう外堀は埋められてる。逃げ場はないぞ」

秀兄は私に顔を近づけると、悪戯っぽく目を光らせた。

「もう、私のネタで楽しまないで!」

「悪い。だが、今度は真面目な話。あいつはもう両親いないからさ、お前が家族になってあいつを幸せにしてやれよ」

仁の両親の話が出てきてハッとする。

確か一昨日の夜に、彼から両親の話を聞かされた。

仁は自分の感情を表に出さないからわかりにくいけど、彼はご両親が亡くなって寂しかったと思う。
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