難攻不落な彼に口説かれたら
「私が転んでしまってね。彼女に手を貸してもらったんだよ」

「怪我はありませんでしたか?」

「大丈夫だ」

社長は安心させるようににこやかに微笑んだ。

その顔を見て私も仁もホッと胸を撫で下ろす。

「このスマホ、叔父さんのですよね?」

仁が拾い上げたスマホを差し出すと、社長は「ああ、すまんな」と言って受け取り、マジマジと仁と私を見た。

「うむ。そうやって並んでると美男美女でお似合いだな。雪乃ちゃんは専務のお気に入りだからな、大事にするんだぞ」

ポンと仁の肩を叩く社長。

秀兄の言ってた通り、社長にも私達のこと知られてる!

リアクションが取れずに固まっていると、仁は口元に笑みをたたえた。

「もちろんですよ」

「雪乃ちゃんも仁のことよろしく頼むよ」
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