難攻不落な彼に口説かれたら
だが、少し無理をしたせいか、咳をする回数が増えてきた。

コホッコホッと咳をしていると、ドアがガチャっと開いた。

時刻は午後九時過ぎ。

オフィスにいるのは私だけ。

会食に行った秀兄が忘れ物でもしたのかな?

「秀兄、忘れ物?」

パソコンのディスプレイ画面を見たままキーボードを叩いていると、意外な人物の声が耳に届いて驚いた。

「古賀さんはまだ社長と飲んでる。彼の従妹なんだって?」

嘘!片岡君?

彼も今夜秀兄と一緒に社長と会食に出ていた。

ビックリしてディスプレイから顔を上げれば、彼がこちらにやって来て、自分のデスクに寄りかかりながら私に目を向ける。
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