難攻不落な彼に口説かれたら
……怖い。

回れ右して戻りたいけど、彼女相手だと無理なような気がした。

観念して秘書室での尋問を受けていると、納会の開始時間になった。

慌ただしく動き出す秘書室の面々。

私もやっと解放され、げっそりしながら経営企画室に戻る。

みんなもう会場に行ってしまったのか誰もいなかった。

「まだ仕事残ってるんだよね」

不要になった大量の資料をシュレッダーにかけると、不在の間にたまったメールを処理する。

ふと隣の小野寺君の席に目を向けると、いくつか郵便物が来ていた。

DM以外のものがないかサッと目を通すと、彼の机の上を整理する。

「後で取りに来るかな?」

昨日クリアファイルにまとめて入れておいた郵便物は今朝来たらなくなってたし、小野寺君は夜ここに来てるのかもしれない。
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