難攻不落な彼に口説かれたら
それから仁と並んで会場に入ると、いつの間にかスーツに着替えた小野寺君がニコニコ顔で私達を待ち構えていた。

「遅いですよ。中村先輩、今日は無礼講なんで飲んで下さい。あっ、ついでに片岡さんも」

可愛い後輩顔で小野寺君は私と仁にシャンパンのグラスを差し出す。

確かに、会場にはいい感じに酔っ払ってる人がチラホラ。

「小野寺、社長からお許し出たの?」

仁が少し厳しい顔で小野寺君を見据えると、小野寺君は「納会だけですよ。大丈夫、悪さなんてしません」と言って笑った。

さっきは小野寺君の言葉に助けられたし、少しくらいなら平気かな?

チラリと仁に目を向ければ、彼は小さく頷く。

「小野寺君、ありがと」

小野寺君の手からグラスを受け取ると、「いいえ。こちらこそ郵便物ありがとうございます。先輩こそ、隣の人とよいお年を」と言って小野寺君はウィンクした。
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