難攻不落な彼に口説かれたら
仁も小野寺君からグラスを受け取ると、小野寺君は仁の肩に手を置いた。

「これで借りは返したから」

謎めいた微笑を浮かべると、小野寺君は秘書室の面々のところに行ってしまった。

「ねえ、今の小野寺君の言葉、どういう意味かな?」

首を傾げると、美鈴さん達と楽しそうに話す小野寺君に目をやる。

「それは後でわかるんじゃない?」

仁は私の持っているグラスにチラリと視線を向けると、フッと微笑した。

美味しい食事に、楽しい会話。

すごくたくさんの人と話をしたような気がする。

十数人?

ううん、ちょっとした挨拶もいれると三十人以上かもしれない。

気分がよくなって、グラスを一気に飲み干した。

仁はどこに行ったかな?
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