難攻不落な彼に口説かれたら
何も答えられずポカンとしている私に、片岡君はさらに質問を投げかけてくる。

「病み上がりじゃなかった?こんな遅くまでいたら古賀さんに怒られるんじゃないの?」

「も、もう少ししたら帰ります。コホッコホッ」

それだけ答えて、またディスプレイに視線を戻す。

『もう少し』とは言ったけど、あと一時間は余裕でかかりそう。

でも、片岡君はすぐに帰るだろうし、彼には関係ない。
なのに、彼は私が作業しているのをじっと見ている。

「明日の経営会議の資料が見たくて戻って来たんだけど」

うっ……、そうきたか。

「すみません。その資料、古賀さんには明日の十時まででいいって言われたから、今作っているんです。明日でいいですか?」

「出来たとこまででいいから俺に見せて。その間に、ご飯食べれば?その様子だとまだ夕飯食べてないんでしょ?」
< 24 / 294 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop