難攻不落な彼に口説かれたら
「卒業式の日に男子生徒に何度も呼び出されて忙しそうでしたよ。相手が告白する前に『大学違うけど、ずっとお友達でいようね』って彼女に笑顔で言われて校舎裏で涙してる奴が何人もいました」

「雪乃も罪作りな奴だな。だが、無意識に自分を守ってたのかもなあ。意外と臆病なとこあるから」

古賀さんの言葉に俺は同意した。

「ああ……、何となくわかります」

多分、家族と疎遠になったことが大きく関係していると思うが、雪乃は人と深く関わるのを避けようとする。

いつもにこやかだからそういう印象は持たれないが、人にどう思われるとか考えると怖いのだろう。

雪乃が完全に寝てしまったこともあり、みんなに挨拶して彼女をうちに連れ帰る。

寝室に運んでベッドに寝かせるが、雪乃は起きることもなかった。

そんな彼女の寝顔を見て思う。

家族と疎遠のままでいいのだろうか?
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