難攻不落な彼に口説かれたら
雪乃の話だと、父親とは半年に一度は食事を一緒にしているらしい。

だが、父親の再婚相手とその子供には、ここ何年も会っていないとか……。

俺にはもう両親がいない。

雪乃だって母親を亡くしているし、家族の大切さは十分わかっているはずだ。

このまま疎遠でいいわけない。

何とか彼女の力になりたいな。

そして……いつか自分も彼女の家族になりたいって思う。

雪乃の左手を掴むと、その薬指にそっと口付けた。

「ここは俺が予約しておく」

フッと笑みを浮かべると、今度は彼女の唇に自分の唇を重ねた。



次の朝も雪乃はぐっすり眠っていて起きる様子はなかった。
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