難攻不落な彼に口説かれたら
片岡君は紙袋を差し出す。

私がキョトンとしていると、彼は自分のデスクの上に紙袋を乗せた。

「社長に持たされたんだ。中に鯛飯が入ってる。俺はもう腹いっぱいだから」

「私が頂いていいんですか?」

「中村さんが食べないならゴミ箱行きになるだけ」

片岡君は澄まし顔で言う。

「そんなのもったいないですよ」

「じゃあ、まだあったかいうちに食べたら?俺は資料を見せてもらう。ほらどいて」

半ば強引に椅子から立たされ、隣の片岡君の席に移動させられた。

「私、お茶入れてきます」

給湯室へ行き、片岡君にはコーヒー、自分には煎茶を入れて席に戻る。

すると、彼は片肘をつきながら私の作りかけの資料をじっと見ていた。

「コーヒー置いておきますね」

片岡君のいるデスクの上にコーヒーを静かに置く。
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