難攻不落な彼に口説かれたら
この人は……。

ジト目で仁を睨むと、「仁はどれにするの?」と彼を急かす。

聞いてはみたが、男性モノは紺か茶色の二種類しかない。

「俺は紺かな」

仁は、迷わず紺の浴衣を手に取る。

「確かに仁って紺とかブルー系のイメージ」

涼しげに着こなしそう。

「そう?」

「うん。でも仁は顔も小さいし、スタイルいいから何でも似合うけどね」

足も長いから、ジーンズを切って履くということがないらしい。うらやましい限りだ。

私は生地がもったいないっていうくらい切っちゃうけど。

浴衣が決まったところで、仲居さんが現れてフロントの人から私達の部屋の鍵を受け取った。

「では、お部屋にご案内します」

受付の前にあるエレベーターに乗って三階に行く。
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