難攻不落な彼に口説かれたら
「ああ、ありがとう」

ディスプレイを見たまま片岡君はコーヒーを手に取る。
私は紙袋から鯛飯の入った包みを取り出すと手を合わせた。

「頂きます」

ちょうどお腹が空いていたせいか、すぐに食べ終わる。
疲れて思考力も低下していたのだけど、食べたおかげでだいぶ回復した。

「研究開発費、毎年増えてる割には、利益に反映されてないな」

私が食べ終わるのを待っていたかのように、ずっと静かだった片岡君が口を開いた。

「かと言って、削るわけにもいかないですからね。長期的に考えて、利益が出ればいいのでは?」

自分の見解を述べると、片岡君は私を馬鹿にするように笑った。

「甘いな。ちょっとこの資料書き換えるよ」
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