難攻不落な彼に口説かれたら
「え?」

私が抗議する前に片岡君はキーボードを素早く操作する。

なんだろう。

高校の時にもこんなことあったな。

私が文化祭の収支報告書作ってたら、片岡君に駄目出しされて、こんな風に彼が修正してったんだよね。

「この数値はどこから持ってきたの?」

「ああ、それはここからですよ」

片岡君の手からマウスを奪い、参考データを表示する。
「ふ〜ん、なるほどね」

データを見て新たに文字を追加していく片岡君。

そんなやり取りを二十分ほど繰り返し、いつの間にか資料が完成。

確かに私が作るより的確でいい資料になったのだけど、片岡君にいいように操られたような……。

「もう九時半だ。古賀さんにメールで送ってさっさと帰るよ」
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