難攻不落な彼に口説かれたら
仁の決定事項のような言い方にキョトンとすると、読心術に長けている彼はそんな私を見て笑った。

「雪乃ははっきり言わないとわからないし、考える余地を与えるといつ返事をもらえるからわからないからね」

「……なるほど」

よく私の性格をわかってらっしゃる。

仁がうまくリードしてくれたから、私達は今こうして一緒にいられるんだと思う。

初めて抱かれた時だって、朝起きたら彼から逃げることばかり考えてた。

でも、クールな彼が何度も言葉と態度で私に『好きだ』って伝えてくれて、私を決して離さなかった。

もらった指輪が、あの大晦日に見た流れ星のように煌めく。

「すごく綺麗。サイズもぴったり」

指輪に見入っていると、仁が茶目っ気たっぷりに言った。

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