難攻不落な彼に口説かれたら
エレベーターで再会した時は髪の毛が彼のコートのボタンに絡んで最悪だって思ったけど、今は違う。

運命の再会だったんだ。

結婚したら、子供も生まれて家族も増えるのだろう。

仁と歩む未来。

きっと幸せだけじゃなくて、困難もあるはず。

でも、彼とふたりなら上手く乗り越えられる気がした。

「夕飯食べたら、買ってきた望遠鏡で月を見てみよう。今日は上弦の月だからクレーターがはっきり見えるよ」

「うん。綺麗に見えるといいね。望遠鏡もありがとう」

仁の言葉に、私は弾けるように笑った。

すると、彼は思い出したように言う。

「ああ、そうだ。引っ越し業者は手配したから、明日、寮の部屋解約しておいて」
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