難攻不落な彼に口説かれたら
有無を言わせぬその笑顔に、ハハッと苦笑する。

仁は、私生活でも手回しがいい。

私、今週末にはここに住んでいるんだろうな。

そんな彼の少し強引なところも、私は好きなんだと思う。

「何なら俺が解約してもいいよ」

ニヤリと口角を上げる仁の申し出を慌てて断る。

「そ、それは、私がやるよ」

ただでさえ公認の仲になってしまって、会社の同僚にからかわれるのに……。

「それは、残念。雪乃と婚約したって自慢したかったのにな」

わざとがっかりした顔で言う仁。

その目は、私を見て笑ってる。

これからもこんな風に彼にからかわれるんだろうな。

でも、幸せを感じるのは、そこに愛があるから。

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