難攻不落な彼に口説かれたら
2、彼の出張に同行する私
次の日会社に出勤すると、オフィスには誰もいなかった。

天気は快晴。

体調も昨夜タクシーで帰ったせいか、咳もそんなに出なくなって気分はいい。

秀兄と片岡君のお陰だな。

サッと秀兄のデスクの周りを掃除して、メールをチェックしていると、秀兄が出社してきた。

壁時計に目をやれば午前八時四十五分。

「古賀さん、おはようございます」

席を立ってビジネスライクに挨拶すると、秀兄はあくびをしながら挨拶を返す。

「あ~、雪乃、おはよう」

「すごく眠そうですね。昨夜は、遅くまで社長の相手してたんですか?」

「片岡の奴が『経営会議の資料見ておきたい』とか言って俺を置いてさっさとトンズラしてな。社長に深夜まで付き合わされた。おかげで奥さんに怒られたよ」
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