難攻不落な彼に口説かれたら
いつも基本無表情だし。

「えっとー、研究所は東京ドーム10個分の広さで、マップがないと初めての人は迷子になるよ。受付に行くと、ロボットのフォーチュン君が音声案内してくれてね……中のレストランも景色が良くて美味しいよ」

そんなくだらない話を長々としたのに、片岡君は嫌な顔ひとつせず相槌を打っていた。

研究所に着くと、警備室から連絡がいったのか長田君が受付まで出迎えてくれた。

私と目が合ってニコッとすると、次に片岡君に目を向け、スーツのポケットから名刺を取り出して挨拶する。

「企画室の長田です」

「経営企画室の片岡です。今日は急にお邪魔してすみません」

片岡君も名刺を取り出して、長田君に手渡した。

「いえいえ。足を運んで頂いて嬉しいですよ。フォーチュン君に案内をさせたいところですが、今改良中でして……」
< 43 / 294 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop