難攻不落な彼に口説かれたら
反対側のドアの方を睨みつける片岡君。

どうやら開いたドアから痴漢が逃げたらしい。

片岡君は私をドア側に移動させると、気遣わしげに声をかけた。

「大丈夫?次の駅で降りて休憩する?」

「平気。ちょっとビックリしただけ。助けてくれてありがと」

ニコッと笑って片岡君を安心させると、彼はなぜか私の髪に触れた。

「……この髪型見た時に、嫌な予感がしたんだ」

ポツリと呟く片岡君に首を傾げて問いかける。

「え?」

「……何でもない」

そう答えて片岡君はじっと窓の外を眺めた。

この髪型……やっぱマズかったのかな?

少しは可愛く見られると思ったんだけど……。

そんな些細なことに落ち込んでいると、片岡君が私を守る様にガードしてくれて、彼と急接近。

心臓がトクンと跳ねる。
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