難攻不落な彼に口説かれたら
親戚の集まりで何度か顔を合わせたことはあるが、俺とは反りが合わない。表向きは好青年だが、裏では女遊びが派手で借金をかなり抱えているとか。

叔父達の悩みの種だ。監視の意味もあって『フォーチュン』に入社させたらしい。

社長室での話を終えると、古賀さんと一緒に経営企画室に向かった。

オフィスに入ると、すぐに中村さんの姿を確認出来た。

髪はちゃんとまとめていて仕事モードだ。

だが、エレベーターでも思ったが咳をしていたし顔色が悪いと思った。

母を病気で亡くしたこともあって、知人が病気だとどうしても母のように倒れてしまうんじゃないかと気になってしまう。

古賀さんのデスクの前で彼と話していると、彼女もようやく俺のことに気づいたみたいで、俺のことをガン見していた。
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