難攻不落な彼に口説かれたら
【経営会議の資料、よく出来てた。流石だな。これからもあれのこと宜しく頼む】

経営会議の資料をメールで古賀さんに送ったのは中村さんだが、やはり彼には俺が手伝ったとわかったのだろう。

おまけに、意味深な言葉まで……。

〝あれのこと〟とは中村さんのことだ。

俺に彼女を任せるってことか?

仕事でなのか、それとも公私共になのか……。

古賀さんのその言葉の意味がわかったのは、俺の研究所の視察に中村さんが同行するよう仕向けた時だ。

俺と目が合うとニヤリとしていたから、彼女とくっつけようと画策しているんだと確信した。

多分、見知らぬ男とくっつくよりは、知ってる男とくっついた方が自分も監視できて安心だからだろう。

あんな美人じゃ悪い虫がつかないか心配になる気持ちは理解できる。

中村さんは端で見てると危なっかしくて、見てるこっちがやきもきしてしまう。
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