難攻不落な彼に口説かれたら
自虐的になりながら事実をふたりに伝える。

「あ~、だから最近、髪まとめてるんだ。でも、こないだみたいなアップにしないの?可愛かったのに」

美鈴さんのセリフに、気分が少し沈む。

他の人も褒めてくれたから、片岡君ももしかしたらって期待したんだけど、気に入ってはもらえなかった。

「……一部の人には不評で」

力なく笑うと、美鈴さんは顎に手を当てながらフッと微笑した。

「ふーん、一部の人ねえ」

この顔、片岡君に不評ってバレちゃったかなあ。

そんなことを思っていると、秘書室のドアをノックする音が聞こえた。

「はい」と美鈴さんが返事をすると、ドアが開いて噂してた片岡君が入ってくる。

「専務とちょっと話したいんだけど、今専務室に入っていい?」
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