難攻不落な彼に口説かれたら
少し小野寺君をからかうと、彼は破顔した。

「僕は大歓迎ですよ」

この話題ももう気の利いた返しが思いつかなくて、悪いとは思ったが小野寺君の言葉をスルーして話題を変えた。

「……ところで、古賀さんいないみたいだけど」

左斜め前の席に目を向ける。

そこは、我らがボスである古賀修介室長のデスク。

「社長に呼ばれたみたいですよ」

小野寺君もチラリと古賀さんのデスクに目を向けると、すぐに私に視線を戻した。

「そう」

社長と聞いてエレベーターの彼を思い出す。

あの人がひょっとしてうちに来るとか?

だとしたら、今日の私は相当運が悪い。

そんなことを考えていると、オフィスのドアがガチャっと開いて、古賀さんが誰かと談笑しながら入ってきた。

耳に聞こえてくる声は、エレベーターで会ったあの男性の声で……。
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