難攻不落な彼に口説かれたら
彼が注ぐと、「頂きます」と一言言ってからおちょこを口に運んだ。

おっ、辛くなくて、飲みやすいかも。

私も片岡君にお酒を注ぐと、次に秀兄に注いだ。

お寿司をつまみつつ、そんなことを繰り返していたら、身体がポカポカしてきていい気分になってきた。

最初和やかな雰囲気で仕事の話をしていたのだけど、相変わらずクールに話をしている片岡君を見てたら何だか段々ムカついてきた。

「……そう言えば、片岡君って今日秘書室の麗奈ちゃんに忘年会誘われてたのに、無下に断ってたよね?あんな断り方しちゃダメだよ。ニコッと笑顔で〝お誘いありがとう。残念だけど先約があって……〟とかもっと大人な言い方があるでしょう?だいたい昔から片岡君は……人に素っ気ないし、はっきりとものを言うから敵を増やしちゃうの。そこら辺、わかってる?あっ、お酒ちょーだい」
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