難攻不落な彼に口説かれたら
片岡君に説教しながらも、お酒がないのに気づいておちょこを彼の前に差し出した。

「彼女……飲むとこうなるんですか?目も据わってるし、これ酔ってますよね?」

呆れ顔で私を見て、片岡君は秀兄に小声で確認する。

「面白いだろ?こいつの酔い方は四段階あって、最初は今みたいに絡むんだ。片岡、将来社長になるんだから、秘書の女の子達には優しくしろよ。敵に回すと怖いぞ」

秀兄は片岡君に楽しげにアドバイスする。

「片岡君、お酒まだあ?」

片岡君に催促するが、彼におちょこを取り上げられ、代わりに水を渡された。

「酒はもう終わり。水で我慢するんだね」

「片岡君のケチ。そんなこと言うと、みんなに片岡君は、高校の時に美人の保健の先生に迫られたって言っちゃうよ~」

ジト目で片岡君を見てそう脅せば、彼は溜め息交じりの声で言った。
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