難攻不落な彼に口説かれたら
目に映るものが信じられなくて何度も目を瞬く。

でも、状況は変わらない。

何で片岡君と寝てるの!

しかも……肌に直接彼の肌の温もりを感じる。

ギョッとして布団の中を覗けば、お互い何も身につけていなかった。

「何で……!」

そう呟きかけて、慌てて自分の口に手を当てる。

声を出しちゃいけない。

彼が起きちゃう。

どうしてこんなことになってるの?

片岡君に抱かれる夢を見たけど……全部現実だったってこと?

いや……全部というのは違うかもしれない。

片岡君が『好きだ』って言ったのはきっと私の願望が見せた夢。

彼が私を欲しがるわけがない。

そう考えて胸がズキンと痛む。

片岡君が自分を襲ったとは思わなかった。
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