大人の心になってあなたに会いに行く
私は、お兄さんに声を掛けてどうすれば目的地に行けるのかを問うと、
彼は私に少し驚いたような顔をして、

「なんで、君は僕の事を見下さないの?」

「よくあなたの言ってる事がわからないわ。でも、あなたはきっと綺麗な心を持っているのね。」

私がそういうと、彼は少し笑って

「君は、少し変わってるね…。
名前なんて言うの?」

「私は三津谷詩乃。貴方は?」

私がそう言うと、彼は残念そうな顔をして、

「……。右京勇斗。君はもう僕には近づいちゃだめだよ。じゃあ…。」

それだけ言って私の前から走り去っていった。
広い廊下に置き去りにされた私はポカーンとなって、その私の姿に気づいたメイドさんが案内してくれた。
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