大人の心になってあなたに会いに行く
「?どーいうこと?」
そう言われて私は勇斗さんに一つの小さな紙を、見せた。
すると、彼は驚きのあまり声が出なかった。
もちろん、それもそのはずだろう。
自分が何年も前に私のボレロのポケットに入れた紙だったから。
「これね、私の妹が今日まで取っておいてくれたみたいなの。
あなたが、こんなに思ってくれてるなんて思いもしなかった。」
そう言って私はもう一度その紙をみる。
君を忘れられなくてごめん。
好きになってごめん。
その紙を見つめていた私の顔を上げて自分の胸元にすっぽりと収めると勇斗さんは、少しは泣いていた。