大人の心になってあなたに会いに行く
「聞いてください。甘い香り。」

私が、そう言うとまず私のアカペラから始まる。
そう、もうここから私たちの舞台だ。

「振り向いて、お願い、叶わない恋だとしても…ワタシはあなたを好きでいる…。」

そう…私は先生を諦められないから。

響と律と弦が音を奏でていく。

「貴方の言葉一つで私の世界は広がるの、だけど…貴方の世界に私はいますか?」

先生の眼中にすら入っていないだろうけど、私は違う。

「特別になりたい…そう強く願っても決して越えられない境界線。」


「私が、貴方の生徒から卒業すれば大人になれば見てくれるの?」

ねぇ…、先生、私は何なんですか?
ただの生徒のままですか?

「振り向いてお願い、叶わない恋だとしても…あなたが大人の香りをまとっていたとしても…」

先生があの、大人の香りを好きでも…

「私の甘い香りであなたを惑わせる
そして、……もう離さない。」

私は私しかない、貴方の生徒という立場を使って先生に甘い香りを惑わせるから…。
きっと……。

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