月が綺麗だと、僕は君に伝えたかったんだ。
気分が悪くなりそうなぐらいにジメジメした暑さの7月のとある水曜日、いつも通り朝練が終わって、
「自販機行ってくるわー」
と言って俺は皆よりも先に汗とフルーツやら石鹸やらが混ざった強烈な臭いが漂っている蒸し暑い部室を出た。
あの部室に居たくなかった、というのは違うとは言いきれない。
このことは誰にも言わないようにしよう、そんなことを考えながらいつもと違う廊下を歩いた。
「…あー、あっちぃ」
いつの間にかこれが口癖になってしまっているな、と感じた。
スポーツドリンクを買おうと思い、鞄の中を覗くと、財布を家に忘れた事に気がついた。
「マジか…」
かなりのショックを受けながらも『つめた〜い』の文字が眩しい自動販売機を通り過ぎて、
またいつもと違う廊下を通って教室に向かった。
教室がある4階までの階段を上がっている間に、
「春樹おはよーっ!」
そう言って背中を叩いてきたのは女子バレー部キャプテンの河内風柚(かわうちふゆ)だ。
クラスは違うけれど、いつも声をかけては暴力…声をかけてくれる。
俺は密かに、アキとこいつはお似合いなんじゃないかと思っている。
理由は簡単で、『2人がなんとなく似ているから』だ。
暑苦しい所も、何かと暴力を奮ってくる所も、言葉遣いも似ている。
ほらあの、語尾に「!」が付いてる所とか。
まぁそんなことを思っていてもアキにも河内にも言えないな、とフッと笑うと、
「あっ!!!夏希ーーっ!!!!」
そう下手したら学校中に響き渡っているのではないかと思ってしまう程の大声で叫んで駆け出して行った。
「朝からうるせぇ…」
捨て台詞のように小声で吐き捨てて、俺はまたいつもと違う廊下を歩き出した。
「自販機行ってくるわー」
と言って俺は皆よりも先に汗とフルーツやら石鹸やらが混ざった強烈な臭いが漂っている蒸し暑い部室を出た。
あの部室に居たくなかった、というのは違うとは言いきれない。
このことは誰にも言わないようにしよう、そんなことを考えながらいつもと違う廊下を歩いた。
「…あー、あっちぃ」
いつの間にかこれが口癖になってしまっているな、と感じた。
スポーツドリンクを買おうと思い、鞄の中を覗くと、財布を家に忘れた事に気がついた。
「マジか…」
かなりのショックを受けながらも『つめた〜い』の文字が眩しい自動販売機を通り過ぎて、
またいつもと違う廊下を通って教室に向かった。
教室がある4階までの階段を上がっている間に、
「春樹おはよーっ!」
そう言って背中を叩いてきたのは女子バレー部キャプテンの河内風柚(かわうちふゆ)だ。
クラスは違うけれど、いつも声をかけては暴力…声をかけてくれる。
俺は密かに、アキとこいつはお似合いなんじゃないかと思っている。
理由は簡単で、『2人がなんとなく似ているから』だ。
暑苦しい所も、何かと暴力を奮ってくる所も、言葉遣いも似ている。
ほらあの、語尾に「!」が付いてる所とか。
まぁそんなことを思っていてもアキにも河内にも言えないな、とフッと笑うと、
「あっ!!!夏希ーーっ!!!!」
そう下手したら学校中に響き渡っているのではないかと思ってしまう程の大声で叫んで駆け出して行った。
「朝からうるせぇ…」
捨て台詞のように小声で吐き捨てて、俺はまたいつもと違う廊下を歩き出した。