「先生、愛してる」
倉本翔の場合

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細すぎず太すぎない、すらりと伸びた手足にくびれた腰周り。手に収まるほどの丁度良い乳房。腰まで伸びた長い黒髪が、白に近い肌色を隠すようで妙に官能的だった。

どこからどう見ても美しいと言える彼女の裸体は、僕の目を釘付けにさせる。彼女の家のベッドで横になりながら、隣に座っている体を見つめていた。そんな僕の様子を見ると、恥ずかしいのか肌より白いシーツで体を覆い隠される。


「じろじろ見すぎ」


そういうと、彼女は膨れっ面を見せた。


彼女の名前は木原 紗和(きはら さわ)。
見るところ年齢は二十代前半といったところか、しばらくの付き合いだというのに詳しいことは教えてくれない。三年前までここで共に住む夫がいたが、夫側の不倫により離婚し今は独り身らしい。


そして僕にとっての何よりの問題は、彼女が翔の通う青華高校の国語教師だということだ。ましてや未成年者の自分が、成人女性とこういった関係を持つのは如何なものかと思うわけだが、既にもう何度とお互いに触れ合ってしまっているのだから仕方ない。今は隠し通せるだけ十分に隠していればいい。それだけだ。


「先生」


僕が呼んでも、先生はこちらを向こうとしない。つまらなくなって、少し声量を上げて言った。


「さっきまで隠しもせずに、僕の上でよがってたくせに」


「ちょっと」


そうすると、ようやく返事を返してくれた。くくっと喉の奥で笑う。


「だって倉本君のその目、嫌なんだもの」


「目?」


聞き返すと、先生は自身の身を両手で抱き寄せわざとらしく恥じらって答えた。


「心の中まで見られているみたいで、なんか嫌だ」


「へぇ?」


そう言うと、僕は面白半分に先生の瞳をじっと見つめた。すると「馬鹿」とデコピンが返ってきた。

先生が床に落ちていた僕の学生服を拾って「早く着替えなさい」と顔面に向かって放り投げた。それにより覆われた視界を除くように、体を起こして制服を剥ぎ取る。しぶしぶ衣服を身につけると、先生の方をちらりと見た。


いつの間にやら先生もスーツ姿に着替えており、乱れた髪をブラシで梳かしていた。僕は身支度を整え学生鞄を手に持った。

時計を見ながら外へ出る時間を見計らう。僕は七時五十分に、先生は八時十分に家を出るのが決まりだ。それが周りに悟られないための、二人で決めた外出の仕方だ。


「先生」

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