例えば君に恋しても



「それは誤解よ・・・?」


このままだと新一さんの立場が悪くなってしまう事はいくら私にでも理解できる。


慌てて仁の手からその写真を奪おうとしたけれど、私の行動などまるで予測していたように、仁は身軽にひらりと私をかわした。

足がもつれ、ベッドに倒れこむ。

すると、すかさず私の髪を掴んだ仁は、今度は恐いくらい穏やかな表情で続けた。


「この写真の真意なんてどうでもいいんだよ。

この写真を見て、彼女がどう判断するか。なんだ。」

「・・・彼女?」


「そう。前にも軽く話したと思うけど俺ら兄弟は将来的には決まった婚約者と婚姻を結ばなきゃならない。

だから、兄貴の婚約者がこれを見て、どう判断するか。だよね?

君だって婚約者がいた身なら俺の言ってること理解できるよね?」


確かに・・・


写真だけ見れば疑ってしまう・・・


「でも、なんで仁が私に婚約者がいたことを知ってるの?」


新一さんと同じように探偵を使って調べたか・・・。

胸騒ぎばかりこの胸を締め付けて

不安で引き裂かれてしまいそうだ。


「朝倉瑛士?あいつも、まだ悪い癖が治んないんだな。」


まるで瑛士さんのことを知ってるような言い回し。



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