例えば君に恋しても
「どういう意味?」
「そのまんまの意味」
「あまり、ふざけたことばかり言ってると殺すよ?」
仁の私を睨む目に更に冷たさが増す。
けど・・・不思議と恐くもなんともなかった。
だって
あんなに愛してた瑛士さんは最初から私を騙すつもりで近づいてきた。
ましてや朝倉瑛士なんて人間はこの世界にはいない。
私がずっとずっと
愛情を込めて呼んでいた名前は架空の存在で
あの人にとって私は血の通った人間扱いも最初からされていなかったんだ。
それほど恐いことが起こりえて
ようやく認めかけた新一さんへの気持ちは報われるどころか、彼の将来の足かせになってしまう。
好きでいることだけで迷惑をかけてしまう。
そんな絶望を知って尚、それ以上に絶望なことなどあるのだろうか。
報われないだけの人生なら
逆に殺されたほうがよっぽど楽だ。
運がないにもほどがある。
「殺せば?」
「悪いけど本気だよ?」
「悪いと思ってるだけまだマシだよ。殺してくれて構わないよ?」
沈黙と言う名の睨めっこが暫く続いて、仁は呆れたように小さなため息をついた。
「君がどこまで俺をバカにしてるのか知らないけれど、もういいよ。
君を構うのも疲れたし。」
そう言うなりベッド脇に放り投げられてたタブレットを私に見せつける。
画面に写し出されてるのは問題の写真だった。