例えば君に恋しても
「散々、俺をバカにしたくせに、なにそのしおらしい態度は?
本当、癪に触るよね。
お願いの仕方があるんじゃないの?」
嘲笑う彼に心底腹が立つ。
それでも、拳を握って堪えるしかない。
「お願いします。止めて・・・下さい」
「バカじゃない?頭を下げなよ・・・
床にひざまづいて床に頭擦り付けて頼むのがすじだろうがっっっ!!」
大声をあげて、ゲラゲラ笑う。
腹立たしさに負けて
新一さんなんか本当に関係ないと思えるなら、今すぐあいつの顔面をひっぱたいてやりたい。
手のひらに爪を食い込ませ、唇から血が滲むほど噛み締めて
それでも、瞼に浮かぶのはあの、能天気な笑顔。
好きなこの取説が売ってないとかわけわかんないこと言ったり、私を犬扱いするようなおバカなのか天然なのか分からない愛情表現と
優しい手。
叶わない思いならいっそ、全部忘れて
今、目の前にいるあいつを殴りたい。
けど
できない。
なんでだろ?
好きだから?
好きだと
こんな屈辱も我慢できるわけ?
報われない相手のために?
いつもいつも
傷つくのは私。
分かってて
どうして放り投げれないんだろ。
全部投げ出しちゃえば
こんなにスッキリすることはないはずなのに・・・。
バカでお人好しは
誰だろう?
膝をついて
頭を床に擦り付けた。
「お願いします。止めて下さい」