例えば君に恋しても



でも、お子さんが普通に成人しているなら、市橋家の三兄弟の事も、小さな頃から知っていておかしくないんだ・・・。


「峯岸さんはずっと見てきてるんですね?」

「はい。

新一様の生まれた日の朝も

仁様も、邦弘様も、産まれたその時からずっと側にいますよ。」



それは我が子の誕生を懐かしむような

優しい言葉だった。


きっと峯岸さんは新一さんのことも、仁のことも邦弘のことも

一人一人、大切にしてきたのだろう。

そんな事想像しようとしなくても簡単に思い浮かぶ。


そんな峯岸さんの愛情は仁にもちゃんと届いてるのかな?

届かない思いにばかり目を向けて・・・

でもそれは仁だけじゃなく

私にだっていえること・・・。

近すぎて気付けないんだよね。


肩に感じる重みに頬を寄せた。


みんな誰だって

100%誰かに思いが伝わってる訳じゃない。

だからこそ

ちゃんと周りに目を向ければ初めて気付くことがたくさんある。


でも叶うなら

大切な気持ちは


届けたい人に届いて欲しいよね・・・。




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