例えば君に恋しても
「なぜ、正体を隠さないか分かるかな?
分からないかな?」
まるでクイズを楽しむようにチッチッチッチ秒針を真似ながら、屈み、私の目を覗きこむ。
「時間切れー。正解は・・・」
そう言いながら首にかかる手。
「なんで私だったの・・・」
聞こえるか分からないくらいの声を聞取った彼は嬉しそうに頷いた。
「初めて会ったとき、君があんまり生き生きしてたから」
「最初から愛してなんかいなかったの?」
最後に振り絞った声。
「愛してたよ。でもひとつの玩具で長いこと遊べない性格なんだ。
昔から玩具だけは溢れるほど持ってたからね。
でも、感情のある玩具が一番大好き。
特に俺を好きな玩具の壊れてく姿を見るのは至福の時間だよ。
でもね、君だけは特別な玩具にしてあげる。
唯一、最後までバラバラに壊してあげようと思ったのは君だけだよ美織。」
首にかかる指先に徐々に力がこもる。
「そうそう、さっきのクイズの答えを教えてあげる。
正体を知ってるほうが美織に最高の恐怖をプレゼントできるからだよ。
黙って壊されて終わっていれば良かったのに、歯向かったりなんかするから・・・」
玩具だとか
壊すとか
人をなんだと思っているの・・・
壊れているのはあなたの方だ・・・