例えば君に恋しても
それでも嬉しくないわけじゃないけど
仁とはどうだろ。
性格が合わなさそう。
なんて
笑えない。
今はちょっと凹んでる。
「明日、迎えに来る。」
「どうして?」
「兄貴の婚約パーティー。参加して、ちゃんと諦めろ。」
「あはは。残酷だね?
でも、そうだね。そのほうが、きっとすっぱり諦められるね。
でも、私なんかが参加できるかしら?」
困ったように笑う私に、仁は頷いた。
「諦めたら次に進めばいい。」
「次って?」
「美織のいろーんな傷が癒えるまで側にいる。ずっと側にいる。
そうしたら、次の恋の相手が直ぐ近くにいることに気づけるだろ?」
・・・どこまで本気で、どこまで冗談なのか分からない人だ。
「もしかして、あんなにひどいことばかりしたり、言ったりしたのに私のこと好きなの?」
すると、仁は少し困ったように笑った。
何も答えずにただ、笑って
「明日、迎えに来る」そう言って車に戻った。
仁の態度が変わったのはきっと罪滅ぼしのためだろう。
峯岸さんの言う通りのような性格だ。
きっと、本音は優しい人。
そうは思っても
だからって
好きになれる?・・・わけないよね。
だって
恋ってそうそう、転がってない。