例えば君に恋しても
それでもやっぱり
瑛士さんに会いたいのは
会ってきっと確かめたい想いがあるから・・・。
新一さんの家に着くと、玄関に置かれたままの紙袋に目が留まった。
「あ、それ、昼御飯にと思って買ってきたから食べなよ」と目配せする彼に
なんとなく心の中で呟いてしまう。
餌。なんでしょ?って。
「有り難くいただきます。」
有名なホテルの名前が書かれた紙袋の中から食べたこともないような高級感を漂わせるお弁当を取り出して広げる。
トリュフがメインのお弁当に多少、引きながらも食事をする私を、テーブルの向かいに座ってただ、にこやかに見ている彼。
「あの・・・お仕事は大丈夫?」
「うん。美織ちゃんは何も気にしなくて大丈夫だよ。」
「そうですか・・・」
少しの間を置いて、違和感に気付いた私は、驚いて彼の顔を見つめた。
「なんで私の名前・・・」
「昨日、君が寝たあと、悪いと思ったけれど、身分証を拝見させて貰ったんだ。」
あっさり言ってみせる彼の笑顔に、食欲も失せる。
箸を置いた私を見て「じゃあ、行くよ。今日は忙しいからね」と、きょとんとする私を、マンションの前に停まっていたリムジンに強制的に乗せた。