例えば君に恋しても


「なんで・・・こんなことしたんですか?私、ちゃんと言いましたよね?

誰にも頼りたくないって。

確かにこの職場を紹介してくれたのは新一さんだけど、それは人手も足りないことで50%50%貸し借りもなし。

私があなたに関わることも、あなた方兄弟に関わることも無い職場を紹介してくれたはずですよね?」

私がわがままなのか、もうよく分からずに、呆れと少しの苛立ちを抑えながら、彼からぷいっと視線を逸らす。

「僕が君と一緒にいたかったんだから仕方ない。」

またしても、悪怯れる様子もなくさらっと答える新一さんに、結局私には肩を落とすことはできたとしても、断る権利はないのだ。


「仕事として割りきるしかないんですよね・・・」

ぼやいた私の言葉に反応した彼は「ちょっとこっちに来て」と、自分の椅子に私を座らせて、不貞腐れたように眉を寄せた。

初めて座った社長の椅子がふかふかすぎる感動と、なぜか怒っている彼を前に、私の気分も浮き沈む。


「聞くけど、仁のメイドにはじぶんからすすんでなろうとしたのに、なんで僕のための掃除婦はそんなに嫌なわけ?」


怒りどころはそこなのか・・・。

まるで、妬きいてるような言い回しに頭の中が混乱してしまう。






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