例えば君に恋しても
取説
ふうっと・・・ため息をついた頃、痛いくらい感じる視線に気が付いて右上を見上げると、腕を組みしかめっ面の新一さん・・・
人が物思いに耽っていたというのに、なんだと言うのか・・・
店員さんがあの二人が済ませた食器を片付けて
私達が注文した料理が届いても、彼は黙って私に冷たい視線を注いだ。
ボックス席で隣同士。
ただ、睨まれてるのも気分が悪い。
さっきまで絢香達が座ってた椅子に移動して、真っ直ぐ新一さんを見た。
「何か言いたいことがあるならどうぞ?」
折角の料理もこのくうきの名かでは台無しになる。
「君はああいうのがタイプなのか?」
「彼は絢香の恋人よ・・・」
「そう。それなのに、君はあいつの事しか見てなかった。」
要は妬きもちか・・・
友達以上恋人未満の関係を望んだのは自分自信のくせに。
そういう曖昧な関係で嫉妬とは、ルール違反のような気もするけれど、彼にルールなど通用もしないだろう。
だから、私もここは素直にでてみることにした。
口にしてしまえば、もしかしたら、より辛くなるかもしれないけれど、この人相手なら
そんな恐さも半減されてしまうだろうに違いない。