My.doctor…?
「倒れてる咲桜ちゃんを見た時…怖くなった」


「え…」



俯いていた咲桜ちゃんは
驚いた様で顔を上げ
目を合わせてくれた。


だから俺は続けた。



「死ぬんじゃないかって…医者のくせに、医者である事を忘れて、自分を見失って…怖くて仕方なかった」



こうなると
羞恥なんてどうでも良かった。


言ってる事は
何も間違っちゃいないから。



「『守る』なんて言ったくせに、何もしてやれなくて…苦しんでいた事にも気付けなかった」


「先生…」


「…本当に悪い。だが…生きててくれて良かった」



そう言った時
咲桜ちゃんは唇を噛みしめ
下を向いてしまった。



「どしたッ!?苦しいか!?」



しかし彼女はフルフルと首を横に振り、小さく呟いた。



「先生は…何も悪くない。そんな…謝らないで…」



その声は震えていた。
彼女は泣いていたんだ…。


涙がポタッ…ポタッ…と
布団に落ちていく。



「なぁ…咲桜ちゃん?」


「…はい」


「俺の為に…何があったのか話してくれないか?」


「え?」


「話してくれない方が迷惑に思うよ。だから…」


「…はい」



< 164 / 316 >

この作品をシェア

pagetop