檸檬の約束ー永遠を君にー
莢に出会った時、僕は抜け殻だった。

無くなったものを埋められなくて毎日お酒で誤魔化してた。

だからね、莢の事は知ってたんだ。

でもあの日。

莢は彼氏と喧嘩したってやけ酒あおって泣いていた。

帰る場所がないと泣いて言った莢に僕は一緒に帰るかと聞いた。

変な人だと思われるかもしれないと思ったけど放っておけなかったんだ。

でも彼氏がいることは知っていたから約束をしたんだ。

「お互いを好きにならない」

でも、一緒に暮らすと不器用な莢のことがどんどん愛しく思えて。

出て行くといった日、どれだけ莢が大切な存在になっているか気付いたんだ。

七夕の奇跡に今は感謝している。

「綾人」

「綾人ってば!!唐揚げまだー?」

思い出に浸っていると莢がぷうと膨れている。

「今、持っていくから。」

「一つ味見させて。」

「莢、行儀が悪いよ。」

「待ちきれないんだもん。」

「うん、美味しい!!」

研究の成果は上々みたいだ。

莢は添え物のサラダそっちのけで唐揚げを食べている。

「これ、プレゼント。」

「わあ、可愛い。」

笹の葉をモチーフにしたガラスのブレスレット。

友人に勧められて買ったものだ。

「もうすぐ七夕だからね。」

「七夕ってプレゼント贈る日だった?」

「私、なんも用意してない・・・。」

莢はしょぼんとしてしまう。

「莢、腕出して?」

白くて細い腕にブレスレットをつけてあげると莢は笑う。

「ホント、可愛い・・・」

可愛いのは莢の方なんだけど。

抱きしめたい気持ちでいっぱいになってしまう。

だけど食事が終わるまで少しの我慢。

食事を終えて、片付けをしていると莢がちょこんと傍にいる。

「綾人はどうして色々プレゼントしてくれるの?」

「莢に似合うかなって思うとつい買っちゃうんだ。」

「私が綾人にプレゼントしたのってネクタイくらいなんだけど・・・。」

莢はそっぽを向いてしまう。

「じゃあ、ひとつ願いごと聞いてくれる?」

僕は莢にキスした。

「ずっとずっと隣にいて笑っていて・・・永遠に。」

「それってプロポーズみたい。」

「みたい、じゃなくてプロポーズ。」

「本当は色々考えてたんだけど、こんな形になってごめん。」

「綾人らしい。」

莢が僕を抱きしめる。

「綾人に出逢えて、良かった。」

それは僕の台詞だよ。

「出逢ってくれてありがとう」

僕の隣で笑う君をずっとずっと愛してる。

ーーーend。








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