夏の予感
「5時半で図書室閉めますからね~」
ファイ、こと夏維がいない図書室に寂しく響く私の声。
ここに生徒は誰一人としていない。最後の貸し出しは1時間ほど前に終わってしまった
日が長くなっているからかこの時間でもあまり暗く感じない。どっちかっていうと明るい。
「まだ開いてますか?!」
しんみりとした図書室に大きな声が響いた
もちろん私の声なんかじゃない
「あなたは....
よく図書室に来る、名前は...
なんだっけ?よく貸し出し図書の名簿に名前書くんだけど
「あっ、本瀬さん?」
「そうです!!鍵落ちてませんでしたか??」
ゆったりとしていた私とは裏腹に息を切らしている彼女
「鍵ですか?まだ掃除してないので何とも言えないんですけど....」
そういうと彼女は自分が座っていたであろうテーブルの周りを探し始めた
ここにはテーブルは4つしかない、すぐ見つかる。そう思ってた
「ないっ!!」
なぜか見つからない
涙目になっている彼女
「あ、あの。ここ以外にも思い当たる場所ありませんか?ここの次にどこかに寄っただとか...」
「ここ以外思いつかないの...。ここの次に家に帰ったんだから....」
うわぁぁ。じゃあここに絶対あるじゃん
なんで今日ファイがいないんだろう
居たら一緒に探してもらえたのに
後悔しても遅いよね
「私本のほう探すんで!本瀬さん机側お願いします」
「えっ、手伝ってくれるの?」
「図書局は暇なんで」
その言葉で笑った、本瀬さんはなんだか今までで一番可愛いかった