うつりというもの
永凛寺本堂
昼過ぎに永凛寺の本堂にみんなが集まっていた。
今度は赤井と三田村も来ていた。
「慈海さんは、二人の名前を言った後は、ずっと黙秘しています」
赤井が言った。
「そうですか…」
永凛寺の住職が呟いた。
慈海は、住職に事の次第を報告した後、世田谷西署に出向いたのだった。
「二人の死因は…」
教授が言いにくそうに聞いた。
「慈空さんは首を切られ、慈延さんは心臓を潰されていました」
それを聞いて季世恵が気を失ったのを忍が支えた。
「捜査本部も何が起こったのか分からず戸惑っています」
三田村が言った。
「なぜ彼等があそこに居たのか、言える訳がないので」
赤井が悔しそうに言った。
「確か、そこはあの有名な上人が昔居たというお堂でしたよね」
教授が言った。
「ええ」
「そんなところにいたとは」
「今でもそこにいるんでしょうか…」
遥香がそう言うと、赤井が視線を向けて溜め息を吐いた。
「渕上さん、何でまだこちらにいるんですか?」
遥香は黙って下を向いた。
「え?どういうことですか」
教授が赤井を見た。
「一連の被害者がA型です。一応、渕上さんも同じなので、東京を離れている様にお願いしていました」
「ああ、そういう事ですか」
「遥香ちゃん、こんな状況だからさ、やっぱり東京を離れていた方がいいよ」
三田村が言ったが、忍が睨んだ。
それに対して三田村も忍を睨み返していた。
今までだと赤井が三田村を叩く場面だが、今はそんな軽い雰囲気も救いかと思われた。
昼過ぎに永凛寺の本堂にみんなが集まっていた。
今度は赤井と三田村も来ていた。
「慈海さんは、二人の名前を言った後は、ずっと黙秘しています」
赤井が言った。
「そうですか…」
永凛寺の住職が呟いた。
慈海は、住職に事の次第を報告した後、世田谷西署に出向いたのだった。
「二人の死因は…」
教授が言いにくそうに聞いた。
「慈空さんは首を切られ、慈延さんは心臓を潰されていました」
それを聞いて季世恵が気を失ったのを忍が支えた。
「捜査本部も何が起こったのか分からず戸惑っています」
三田村が言った。
「なぜ彼等があそこに居たのか、言える訳がないので」
赤井が悔しそうに言った。
「確か、そこはあの有名な上人が昔居たというお堂でしたよね」
教授が言った。
「ええ」
「そんなところにいたとは」
「今でもそこにいるんでしょうか…」
遥香がそう言うと、赤井が視線を向けて溜め息を吐いた。
「渕上さん、何でまだこちらにいるんですか?」
遥香は黙って下を向いた。
「え?どういうことですか」
教授が赤井を見た。
「一連の被害者がA型です。一応、渕上さんも同じなので、東京を離れている様にお願いしていました」
「ああ、そういう事ですか」
「遥香ちゃん、こんな状況だからさ、やっぱり東京を離れていた方がいいよ」
三田村が言ったが、忍が睨んだ。
それに対して三田村も忍を睨み返していた。
今までだと赤井が三田村を叩く場面だが、今はそんな軽い雰囲気も救いかと思われた。