うつりというもの
「この者は、どうするのじゃ。このままでは可哀想じゃ」
うつりは手に持つ田島理恵の首を見た。
「私達で供養しますから、心配しないでお戻りください」
「そうか。頼む」
うつりは田島理恵の首を遥香に差し出した。
遥香は一瞬気が遠くなったが、あきらめて、階段を上るとそれを受け取った。
手に当たる髪の毛と肌の感覚がまるで生きている様だった。
そして、そのまま後ろ向きに下に降りた。
うつりはしばらく遥香を見つめていた。
そして、もう一度「頼む」と言うと、その身体が光に包まれて、飛散する様に消え始めた。
「あの、あなたのお名前は?」
「わらわは陸奥那美姫神である」
消えた後の空間にその声が残った。
「むつなみひめのかみ…本当に神様だったんだ…」
遥香はしばらくそのままでいたが、手に持つ物の事を思い出して急に腰が抜けて、地面に座り込んだ。
荒い息の中で、頭は真っ白だった。
「私、神様を怒鳴っちゃった…」
どれだけ、そこでそうしていたのか分からなかったが、
「遥香君!」
「渕上さん!」
教授と赤井の大きな声で現実に戻った。
そして、遥香は気を失った。
うつりは手に持つ田島理恵の首を見た。
「私達で供養しますから、心配しないでお戻りください」
「そうか。頼む」
うつりは田島理恵の首を遥香に差し出した。
遥香は一瞬気が遠くなったが、あきらめて、階段を上るとそれを受け取った。
手に当たる髪の毛と肌の感覚がまるで生きている様だった。
そして、そのまま後ろ向きに下に降りた。
うつりはしばらく遥香を見つめていた。
そして、もう一度「頼む」と言うと、その身体が光に包まれて、飛散する様に消え始めた。
「あの、あなたのお名前は?」
「わらわは陸奥那美姫神である」
消えた後の空間にその声が残った。
「むつなみひめのかみ…本当に神様だったんだ…」
遥香はしばらくそのままでいたが、手に持つ物の事を思い出して急に腰が抜けて、地面に座り込んだ。
荒い息の中で、頭は真っ白だった。
「私、神様を怒鳴っちゃった…」
どれだけ、そこでそうしていたのか分からなかったが、
「遥香君!」
「渕上さん!」
教授と赤井の大きな声で現実に戻った。
そして、遥香は気を失った。